家系図作りは、取り掛かる前の事前準備が大切とよく言われます。

自分で家系図を作る際に無計画にスタートを切ってしまうと、小さなほころびがやがて大きな穴にまで広がってしまい、それまでの作業がほとんど台無しになってしまう、なんていうことがあります。家系図作成のプロにとっても、経験に支えられた高い技術を駆使して慎重に取り組む作業です。家系図作りの最初の一歩を踏み間違えないように、今回は戸籍を収集して家系図を作る段階でやってしまいがちな失敗と対策をご紹介します。

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【失敗1】戸籍取得のために遠方の役場まで行ってしまう

女の子の後ろ姿

家系図作りを始める、といっても仕事や学業を放ったらかしにできるというわけではないので、作業は効率よく進めて行きたいものです。戸籍の写しは自分でもらいに行かなければ、とわざわざ時間を掛けて遠くの役所に足を運ぶようなことでは、時間と交通費がかさんでしまいます。

<対策> 戸籍の郵送請求の方法を覚えよう。
戸籍は郵送でも取り寄せることをご存知でしょうか。
必要な書類を送付すれば1週間程度で届きます。

<郵送請求に必要な書類>
・請求用紙(各市区町村のホームページからダウンロードできる場合が多い)
・返信用封筒(切手を貼り、宛名に自分の住所と氏名を書きます)
・手数料(申請料金として必要な通数分を郵便局の定額小為替か現金書留で送金)
・請求者の本人確認書類(運転免許証・健康保険証などのコピー)

戸籍の請求だけでも膨大な作業量ですので、なるべく効率よく進めたいものです。

「戸籍の取り方」の解説記事家系図の調べ方・戸籍の取り方をプロが詳しく解説します!

【失敗2】戸籍を取得できる範囲がわからなくなってしまう

悩む男性

併せて注意しなければならないのが、戸籍を請求できる範囲です。戸籍法では、請求者の直系尊属と直系卑属の戸籍を請求できると定められています。戸籍に入っている本人、またはその配偶者、直系の卑属(子孫)、尊属(先祖)以外の者が請求する際には、戸籍に入っている本人の委任状が必要となります。

<対策> 「直系」と「傍系」の違いを理解しておこう。
違いがわかりにくいのは、「直系」と「傍系」の先祖の違いです。直系の先祖とは、自分の上の世代に直接つながる先祖のことで、傍系とは自分からみて共通の先祖をもつ系統のことをいいます。戸籍の取得に関するルールと決まり事を理解することで、家系図作りもスムーズに進められるようになります。

「直系と傍系」の解説記事直系と傍系の違いとは?プロが図解で説明します!

【失敗3】戸籍の字が読めなくなって諦めてしまう

諦めた犬

戸籍は古いものになると、字を解読するのが難しくなってゆきます。旧字体、異体字や難字といった馴染みのない漢字、さらには多様な変体仮名に、癖字であることもあいまって、たいへん読みづらいです。たった1つの文字を読み間違ってしまうことで、家系図が書き変わってしまい、直系を探っていたはずが傍系へと流れて行ってしまったり、間違った地域に足を踏み入れてご先祖様を辿る道が途絶えてしまったりしてしまいます。

<対策> 辞典を利用して戸籍の字を一字一句を正確に読み込もう。
戸籍の字を読み間違えると家系図作りは一気に暗礁に乗り上げてしまいます。くずし字辞典を利用することで、ある程度は対応できるようになりますので、一冊は手元に置いておくことが大切です。インターネットを活用して調べることもおすすめです。どうしても古い文字にお手上げとなったら、諦めないうちに専門機関や家系図作成のプロに委ねた方がいいかもしれません。

「古い戸籍の文字を読むコツ」の解説記事古い戸籍の読めない文字を読むコツ・裏技を大公開!

【失敗4】家系図に先祖が収まりきらなくなってしまう

絶望する女性

直系の先祖は倍々ゲームで人数が増えてゆき、さらに傍系も家系図に含めていくと一気にルーツの世界が広がり始めます。ノープランで家系図を作り始めると、いつしか収集がつかなくなってしまうことでしょう。何度も家系図を書き直すことになっては、次第に気持ちも続かなくなってしまうことでしょう。

<対策> 家系図に記載する範囲をあらかじめ決めておこう。
そこで、家系図作成の際にはどの範囲の先祖を家系図に書いていくかをあらかじめ決めてから取りかかることをおすすめします。基本は本人から見て「父方一系統」です。父~父の父~父の父の父~……と遡れば、すなわち自分の名字を辿ってゆくことになります。もし時間に余裕があれば、母親の父方の系統や、妻の父方の系統を加えて二系統で調べを進めてゆくというのでもいいと思います。いずれにしても計画性が大切なのです。

「家系図の書き方」の解説記事美しい家系図の書き方・基本ルールをプロが徹底解説!

【失敗5】戸籍を請求する市区町村役場がわからなくなってしまう

森に迷う

比較的新しい戸籍でも、その後の市町村合併によって現在管理している役所が変わってしまっている、ということはよくあります。

少し遡って終戦後~高度成長期には、多くの町村が統合されるなどしてその名前が消えていきました。時代を経るごとに、市区町村のあり方も変わっていくものですから、これも当然のことなのです。戸籍には現存しない名前の地名がたくさん登場しますが、そこで怯んでしまってはいけません。

<対策> 戸籍の背景にある地域の歴史にも目を向けよう。
今の時代にない町の名前が出てきても、役所に問い合わせると現在の地名がわかってきます。インターネットで検索してみると、大抵の地名のことはわかるようになります。地域が特定できれば、地元の図書館や教育委員会、歴史博物館のような郷土史に関する情報が豊富にある施設を訪ねてみましょう。そこから江戸時代の藩主や城主、その家臣を割り出すこともできます。探している名字は現在その地域に何世帯あるか、地域の菩提寺はどのお寺か、と辿れば江戸の頃のご先祖に出会えるかも知れません。さらに、職業や家紋の判明にも期待が高まります。

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【まとめ】行き詰まったら専門家に相談を

いずれにしても、家系図作成は大変な労力を要する作業が続いてゆきます。最初から大きな風呂敷を広げずに、こつこつと丁寧に調査を進めてゆきましょう。

それでも、壁に当たって行く手を遮られることがあります。そんな時には専門業者の手を借りることも検討してはいかがでしょうか。丸投げせずにアドバイスだけでも求めると、自分が見落としてしまっていた重大なヒントを見つけることができるかもしれません。

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