「戸籍の字が読めない!」
家系図作りを始めて戸籍を取り寄せたのはいいものの、古い戸籍の字が読めず、行き詰まってしまった経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか?

実は家系図作りの一番のハードルがこの「戸籍の字が読めない」というものです。私達のような家系図作りのプロは、これまでに何百、何千もの戸籍の文字を読み込み修練を積んできているため、字が読めないことはほとんどありません。

しかし同じ人間、同じ日本人ですから、プロじゃないと絶対に読めない!なんてことはないはずです。そんなわけで、この記事では、戸籍の字を読むコツと、プロの読み方、読む裏技をわかりやすくご紹介します。

昔の戸籍は手書きだった!?

毛筆

普段生活をしていて、字が読めない場合というのは、

<字が読めない場合>
1.字が小さすぎて読めない!
2.字が汚すぎて読めない!
3.字が達筆すぎて読めない!
4.字がかすれていて読めない!
5.漢字が難しく読み方がわからない!

といったものだと思います。
一方、戸籍の字が読めない理由は、①②③④⑤全ての複合型です。きっとハズキルーペを使ったとしても読みづらいです。というのも、昔の戸籍の字は今のような整った活字ではなく、役場の方の毛筆で手書きの字だったからです。手書きの文字だからこそ、小さすぎたり、字が汚かったり、逆に達筆すぎたり、かすれていたりと、以下のような様々な要因が重なって読めなくなっているのです。

昔の戸籍が読みづらい理由

使われている字体の問題

戸籍の字体の場合、一番根本的な読めない原因は、戸籍で使われている字体・漢字が、今使われている字体と違う字体であることが読めない要因になります。

字を書き込むスペースの問題

さらに字がわかりづらい理由として、昔は紙に直接書き込むため記入する欄が限られており、その箇所にその時々で追記が行われるため、その事を考慮して、最初に書かれる文字自体も凄く小さめに書かれたり、追加で書き込む文字も小さく書かれるいたこともあったのです。その場合、毛筆手書きの上にさらに旧字体などが出てきて、かつ小さい文字となっているため、余計に読みづらくなってしまうことになります。

原本の謄写のときに字がかすれてしまう問題

さらに、その戸籍の原本を取得できるのではなく、その全部事項証明書と呼ばれるコピーが発行されるため、謄写のときに文字が余計に滲んだように見えてしまうこともあります。

読めない旧字体の“正体”を見極めよう

解

読めない字を読むためには、その字の「正体」を見極めなければいけません。つまり、読めない字にも以下のような大きく3つの種類があり、最初に読めない字の正体が何なのかを判別することが、戸籍の字を読む第一歩になります。

<読めない字の種類>
1.大字(だいじ)
2.変体仮名(へんたいがな)
3.崩し字・異体字(いたいじ)

上のように読めない字にも大きく3つの種類があり、まずその字の種類を見分けなければ、読み方を辞典等で調べることもできないというわけなのです。そのため戸籍を読む際には、

字の種類の特定→ネット辞典・辞書等で調べる

といった作業を繰り返し行っていくことになります。

大字(だいじ)

大字

大字は住所表記で使われる「おおあざ」ではなく、いわゆる漢数字のことを大字(だいじ)と呼びます。「一」のような単純な字形の漢数字の代わりに使われていたのです。例えば「一」の字に横棒を2つ足して「三」にする、そういったことが行われないように書類の改ざん防止の意味があります。戸籍には当時の日付や、住所の番地等、たくさんの数字が登場します。

例をあげると、明治2年1月21日生まれの方の場合、「明治弐年弌月弐拾弌日」と記載されます。

メジャーなものだと壱・弐・参のような形で複数の種類があり、紙幣でも使われています。しかし漢数字は異体字や変体仮名のように種類が多くないため、インターネットや辞書等で見つけやすく戸籍に出てくる字の中では比較的読みやすい部類の字になります。

<大字(漢数字)の見分け方・読み方>

戸籍で漢数字が出てくる場合は、①住所の番地表記、②生年月日、没年月日、婚姻日等の年月日で使われる場合がほとんどです。そのため、その字だけを読もうとするのではなく、文脈から判断して住所の末尾のほうだったり、読めない字の次の字が「年」「月」「日」だったりすれば、読めない字が漢数字である可能性が高いです。

私達のような専門業者は大字程度は覚えているものですが、大字は種類も多くないので、一般の方にもWikipediaで戸籍の字と照らし合わせて比較的すぐ見つけることができるはずです。

▼お役立ちサイト(外部サイト)▼
Wikipedia|大字 (数字)

変体仮名(へんたいがな)

変体仮名

「変体仮名」とは平仮名が現在のように「あ・い・う・え・お・か…」のように一字一句に統一される前に使われていた仮名の総称で、「異体仮名」と呼ばれることもあります。実は平仮名は昔、1字1字統一されておらず、たくさんの種類があったのです。

変体仮名はそれぞれ元となった漢字があり、その元となる漢字についても種類が多いため、読み方の特定が難航する場合があります。変体仮名は、これから紹介する崩し字・異体字と合わせて読みづらい字体の代表格になります。

<変体仮名の見分け方・読み方>

女性先祖の名前が読めない場合はほとんどが変体仮名です。そのため、女性先祖の名前が読めない場合はまず変体仮名であることを疑いましょう。読めない字が変体仮名とわかったら、以下のお役立ちサイトで戸籍の字と照らし合わせていきます。女性の名前は2文字であることが多いので、どちらかの文字が特定出来れば、名前を想定して探すことにより、比較的短時間で特定できる場合もあります。

▼お役立ちサイト(外部サイト)▼※プロも利用します
みんなの知識 ちょっと便利帳|変体仮名一覧

崩し字・異体字・草書体

異体字

異体字とは、読み方や意味・用法は同じであるものの、漢字の字体の一部が異なる字体のことです。代表的なものを一つ挙げると、「斎藤」の「斎」の字です。齋・斎・齊・斉にはじまり、「斎」の字だけで31種類もあるといわれています。

この異体字は字体をくずして書かれることが多く、その崩して書いた字を「崩し字」と呼びます。「草書体」とも呼ばれ、字を早く書くことを目的として字画を省略し、くずして書き、その字を書いた人によって字のくずし方も違ったため、読みづらい字体の代表格になっています。

活字が一般的になる前の戸籍は手書きだったので、手書きで早く書く技術が必要だったのは納得できます。しかしそのことが原因で字が読みづらくなってしまっているのが実情なのです。

<崩し字・異体字の見分け方・読み方>

比較的種類を見分けやすい「変体仮名」「大字」ではない漢字の場合は、消去法で崩し字・異体字である可能性が高いといえます。読めない字が崩し字・異体字とわかったら、以下のお役立ちサイトで戸籍の字と照らし合わせていきましょう。

しかし、崩し字・異体字の場合、変体かなの場合と違うのは、まずその字を特定しなくては探せないということです。何となくでも“アタリ”をつけて探さないと特定できません。

変体かなは本やインターネット等で掲載されている字を、戸籍で読めなかった字と比較して同じ字を探せます。しかし、崩し字や異体字などの漢字の場合は、膨大にある漢字の中から比較して探すのは不可能なため、ある程度“アタリ”をつけないと探せないのです。そのため、少しでも読み取れた部首などを参考に探したりする等の工夫が求められます。しかし、慣れない場合は相当な時間がかかる場合もあります。

▼お役立ちサイト(外部サイト)▼※プロも利用します
東京大学史料編纂所・奈良文化財研究所|電子くずし字字典データベース

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現代で見かけなくなった「異体字」とは?

家系図のプロはどこが違うのか?

プロ野球選手

では、戸籍読取りのプロはどこが違うのでしょうか。慣れている!経験!といってしまえばそれまでですが、状況に応じて臨機応変に対応することができる対処方法を知っているということです。ズバリ、以下にあげるような“コツ”を身に着けているのです。

読めない字を読む5つのコツ

1.戸籍の年式による様式・書き方の違いを把握している
2.読めない字だけではなく、周囲の文脈からアタリをつける
3.読みづらい字と同じ字が別の箇所で使われていないか考える
4.読めない字にあたったときでも、そこに留まらず先に読み進めていく
5.発行されている戸籍を拡大コピーするのも1つの方法

私達のような家系図のプロは、日々たくさんの戸籍を読み、家系図作りに関する経験を積むことができます。お客様の家系図を作るわけですから、わからない・間違い等は許されませんし、迅速かつ正確に戸籍の字を読まなければいけません。さらに一人の力で限界がある場合は、チームの中で相談しながら問題を解決し、組織力を使って家系図作りを進めていくことができます。

気軽に取り組むことも大切!

一方、一般の方にとっては、戸籍を読むのもはじめての経験であることがほとんどですから、最初から効率的に作業を進めていくことは難しいかもしれません。ご自身の家系図を作る場合は、家系図作りのゴールも自分で設定することができますし、納期の指定もありません。あくまで自分のペースで、自分の納得できる家系図が作れればそれでいいわけです。なので是非楽しみながら気軽に取り組んでみて下さい。

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家系図作りがもっと楽しくなる!5つの大切な心構え!

戸籍の字を読む裏技とは

ここまで記事を読み進めていただいたなら、ある程度の字の判読はできるようになるはずです。でもどうしても、戸籍の字がどうしても読めないケースというのは出てきます。そんな場合に使える、とっておきの裏技をご紹介します。その方法とはズバリ、

“その読めない戸籍を出した役場の戸籍担当に聞いてみること”です。

役場の戸籍担当の方々は、普段から戸籍に触れる事が多く、先輩の戸籍担当者のクセのある崩し字を読み慣れています。さらに、その地域の土地勘があり住所表記についても詳しいはずなので、戸籍の担当者に問い合わせるとパッと見て判断をつけてくれる可能性が高いです。この字への慣れと土地勘というアドバンテージがあるため、必ず戸籍を発行してくれた役場に確認するべきです。戸籍を発行してくれた役場でないと、「発行した役所に問い合わせてください」と言われてしまい、回答もしてもらえないかもしれません。

役場が遠方の場合

ただし問題なのが、その戸籍を出してくれた役場が遠方であった場合です。時間がある方は抵抗がないかもしれませんが、わざわざ平日の役場が空いている時間帯を狙って、仕事などを休んでまで遠い場所に出向く事は困難な方が多いと思います。このような場合は、電話で問い合わせをするべきケースといえます。出してくれた役場側は、その戸籍の原本を保管していますので、その原本を確認してもらって判読して教えてくれる事でしょう。

役場への電話での問い合わせ手順

電話かける

<自分>
「以前そちらで戸籍を取り寄せた〇〇と申します。戸籍の担当部署に取次ぎをお願いしたいのですが。」

<役所の受付の人>
「わかりました。戸籍住民課(役場によって部署名は違う)におつなぎします。(しばらく保留)」

<役所の戸籍担当者>
「はい。お電話替わりました。どうしましたか?」

<自分>
「以前そちらで取り寄せた戸籍の字が読めなくて困ってるんです。。教えていただくことはできますか?」

<役所の戸籍担当者>
「そうですか、、わかりました。戸主か筆頭者の方のお名前を教えていただけますか?」
※必ず戸主か筆頭者の名前を聞かれます。

<自分>
「戸主が〇〇で、明治〇〇年の古い戸籍なんです。」

<役所の戸籍担当者>
「わかりました。探してみますので少々お待ちください。(しばらく保留)」
「戸主〇〇の〇〇年の原戸籍(戸籍の種類の1つ)ですよね?このどの部分になりますか?」

<自分>
「右から〇行目の下の方の…〇〇の字がどうしても読めなくて。。」

<役所の戸籍担当者>
「うーん。。おそらくですが、これは〇〇と読むんじゃないですかね?」

<自分>
「なるほど!ありがとうございました!」

おそらくこんな流れになります。役場でも自信がない場合は、「その場で回答できない」と折返しの対応になることもあります。役所の人は、除籍・改製原・原戸籍とか戸主・筆頭者とか類の専門用語を一般人に容赦なく使ってくることが予想されますが、何度かやり取りをすれば教えてもらえるはずです。役所の人も人間ですから、親切な人もいればそうでない人もいます。しかし最近では親切な人が増えているような気がしますので、厚かましいと思われても大丈夫!位で教えてもらいましょう。

私達のようなプロでもどうしても読めない場合は(年に数回)電話することがあります。プロとして少し恥ずかしいですが、専門家としてのプライドより、正確な家系図を作ることを優先しています。だから専門家ではない一般の方は堂々と聞いても大丈夫です。

戸籍の字を読む文字認識技術は存在する?

文字コード

今では技術が進歩して、OCR(Optical Character Recognition)と呼ばれる光学文字認識技術も精度が高くなっており、名刺の自動読取ソフト・アプリ等が代表的なもので一般的に活用されるようになってきています。そうなると賢い方だと戸籍の字もOCRで自動読取りできるのでは?と勘付くのではないでしょうか。

しかし、現行の技術では毛筆手書きの戸籍の字をコンピュータで判読・認識することは不可能です。今の技術では、「人間が読める文字をコンピュータが読む」ことはある程度の精度で可能であるものの、「人間が読めない字をコンピュータが読む」ことはできない進歩の状況です。

今後AIの技術が進歩し、もしかしたら古い戸籍や古文書の解読が可能になる日もくるかもしれませんが、おそらくしばらくはソフトウェアを開発する母体が現れないでしょう。戸籍の字は古く、戸籍制度自体も今後捨て去られ将来的に使われなくなる可能性もあるため、その戸籍を読む技術を開発したとしても投資や費用が回収できなってしまう可能性が高いです。

つまり、今さら戸籍を読む技術を開発するくらいなら、戸籍制度に取って代わる国民管理システムを構築した方が効率的で安上がり!ということになります。そのため、家系図作りのための戸籍の字の読取りは、きっとこの先も人間の目視で行わなければいけないでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事を読み進めていただき、戸籍を読む大変さもわかった一方、戸籍の字の読み方にもコツや裏技があることをご理解いただけたのではないでしょうか。

戸籍の字は役所に聞いてみてもわからない場合もありますし、教えてもらえない場合もあります。そんな場合は、私達のような家系図の専門業者を頼りにしてみてください。私達は数え切れない数の戸籍を読んできていますし、相続手続のために戸籍を読むのと、家系図を作るために戸籍を読むのでは読むポイントが違うので、家系図専門業者が頼りにできると思います。困ったときは気軽に問い合わせしてきて下さい!