明治19年式戸籍が、閲覧できる最古の戸籍

家系図作りのために戸籍を過去に辿ってゆくと、一般的には1886年の「明治19年式戸籍」まで手に入れることができます。

古い戸籍には保存期間が決められていて、平成22年(2010年)6月1日に取り扱いが150年となるまでは80年でした。2010年から遡って80年前というと1930年、昭和5年となります。それ以前に除籍された戸籍は破棄されている可能性もあるものの、実際は廃棄されず保管されていることが多いといえます。そういった意味では日本の公文書の管理はとてもしっかりしていると考えられます。1886年から130年以上経った今でも明治19年式戸籍が閲覧できるのです。明治から今まで、日本では戦争や天災がたくさんあったにも関わらず、今でも自分の先祖の戸籍が残っているということはそれだけでも素晴らしいことといえます。

明治19年式戸籍から、江戸時代を探る

当時の戸籍は、現代のように戸籍は親子二代だけが掲載されているわけではありません。さらに、明治19年に作られた戸籍といっても、明治19年の出来事が登載されているわけではなく、明治19年”まで”の出来事が書かれています。そのため、明治19年に編製された戸籍の登場人物の生年月日を見てみると、ほとんどが幕末・江戸時代末期に生まれたご先祖だったりするのです。

明治以前になると、年号も一気に馴染みが薄くなります。慶応・元治・文久・万延・安政・嘉永・弘化・天保と並べてみても、歴史が得意な方でもない限り前後関係はわからなくなってきます。いわば教科書でしか知らない江戸時代の歴史上の出来事と、自分の先祖が生きた時代をリンクされることができることこそ、家系図作りの大きな魅力です。さあそれでは、明治19年式戸籍に書かれているご先祖さまの名前と本籍地(住所)を頼りに、どこまで自分のルーツを辿ることができるか、挑戦してみましょう。

その方法は大きく分けて2つあります。今回は「文献調査編」と題して、実地調査の下調べ段階となる調査方法をご紹介していきます。

まずは、自分が把握しているご先祖さまの情報を整理

作業の第一歩として、これまでの戸籍調査や家族・親類から聞き出した情報を整理するところから始めましょう。戸籍で確認できている最古の先祖について、その名前・本籍地・家紋・屋号・職業・お墓のある場所といったことをまとめていきます。すべてが完璧に揃っていなくても、最古の先祖ではなくその間の先祖の情報でも構いません。ほんの些細な情報からルーツを知るための風穴が一気に開くかもしれません。

そしてここからが文献調査の始まりです。まずは、本籍地のリサーチ。当然、江戸時代の地名です。すんなりピンポイントで本籍地を探るのは難しいかもしれませんが、インターネット上には結構細かい情報があります。中には信憑性の低いものもあるので、ここはおおまかでいいと思います。現在の住所にして、たとえば○○市△△町くらいまでで良しとしましょう。

実は敷居は高くない!国立国会図書館を活用

続いて、その土地に関する郷土史などの文献探しです。自治体の広報紙に連載される記事や、古地図にヒントがあることも多いものです。

情報源の頂点は、日本のことに関してないものはない国立国会図書館です。実際に足を運ぶのが大変でも、各地の公共図書館を通じて図書館間貸出で所蔵する資料の提供を受けたり、インターネット公開されている「国立国会図書館デジタルコレクション」から情報を得たりすることも可能です。

さらに、国会図書館が公開している「リサーチ・ナビ」というウェブサイトは、任意のワードで検索すると、所蔵されている本・資料や調べ方を教えてくれるとても便利なサービスです。例えば「藩士」と検索すれば調べ方で803件、本で413件がヒットします。調べ方には「江戸時代の藩士を調べるには」という有益な情報が出てきます。習うより慣れよという意味で、まず利用してみることをおすすめします。

本籍地があった自治体の図書館に問い合わせてみるのも有効な手段です。資料の複写を取り寄せることもできる場合が多い上、司書から資料を保管している他の施設についてのアドバイスをもらえるといったこともあります。さらに、教育委員会や郷土資料館、博物館で情報を得るのもいいでしょう。

幸運にも郷土史を研究する学者やグループにコンタクトがとれれば、実際に現地を訪れた際に効率よく資料収集ができます。この段階までいけば、その土地の成り立ちや、どのような職業の人が多い場所だったかなどが見えてくるに違いありません。

江戸時代の古文書を読み解こう

郷土史の史料や古地図を読み解いてゆけば、自分のルーツに近づくことができます。そこから一歩踏み込むには古文書と呼ばれる江戸時代の文献を紐解いてゆかなければなりません。

その代表的なものが「宗門人別改帳」。江戸時代中期頃に作られたもので、民衆が信仰する宗教宗派を記録した宗門改帳と、土地の支配者に対する労働課役ができる家族を明らかにした人別改、この2つの台帳がひとつになったものとされています。現代で言うところの戸籍にとても似た台帳といっていいでしょう。他には、ご先祖さまの菩提寺にある過去帳も重要な資料です。今では個人情報の関係もあり、なかなか閲覧させてもらえない貴重な文献ですが、目的を丁寧に説明して、見せてもらえるよう慎重に交渉してみましょう。

古文書にご先祖さまの名前を見つけることができれば、ルーツ探しは大きく前進します。暮らしていた場所、職業、家系の成り立ちも見えてくることでしょう。まずは、戸籍だけで把握できるところまでの家系図を作ってから、根気よく調査を進めていってください。