名字はいつから使われるようになったのか?

普段皆さんは、自分の名字を特に意識することなく当たり前のように使われていると思います。

例えば、初めての病院に行った時の問診票、レストランで待たなければならない場合に記入する名字、等など・・・。生まれた時から、日常的に使ってきた名字ですから、あまり深く考えた方はいないかもしれません。

しかし名字は、実際に調べてみると、色々なことがわかる場合があります。

そもそも全ての国民が名字を名乗るようになったのは、明治8年(1875年)の2月に発令された「平民苗字必称義務令」によって、全ての国民が名字を名乗ることになりました。

もちろん、高い身分である公家や武士の人々は、この時より前から名字を名乗っています。しかし平民は位が低かったので、一般的に名字を名乗ることが許されたのは明治に入ってからのことなのです。

この時、名字は、仕えていた位の高い人の名字をもらい、名乗るようになった方もいる一方で、田んぼの近くに住んでいたから田辺さんとか、山の入り口付近に住んでいたから山口さんなど、土地にちなんだ名字が多くあったようです。

また、名字を調べてみたとしても、昔に高い身分だった家系が、後に身分が低くなったということも多くあります。

歴史は移り変わっていきますので、ずっと同じ身分であった家系はあまり多くないといっても良いと思います。ただ、名字を調べる事によって、ご先祖様が貴族だった、なんて事もわかることがあります。

公家がつけていた名字

公家と呼ばれるような貴族や、上級官人だった人達などは、昔は階級に分けられていました。その数は全部で6つ。
① 摂関家
② 清華家
③ 大臣家
④ 羽林家
⑤ 名家
⑥ 半家
のように段階的な階級によって分けられていたのです。

中でも①の摂関家は階級の中でもトップクラスの身分でした。出世の仕方によっては関白や太政大臣などになれる人たちです。

ちなみに関白というのは、天皇の補佐であり、天下の政を行う職の事をいい、太政大臣は、太政官と言う役所を統治する役職であり、皇太子や天皇などと同じような権力を持つ方が就く役職の事をいいます。

では、実際に現代にもある名字の中からピックアップして具体的に紹介していきましょう。

まず、①の摂関家については、全てで5つの名字となっています。

「一条」「九条」「近衛」「鷹司」「二条」さん達です。「近衛」「鷹司」さんと言う名字の方にはなかなか出会うことがありませんし、大変珍しい名字だと思います。一方で、一条、九条、二条さんというのは、なんとなく耳にしたことがある・・・と言う名字かもしれません。駅名でも九条駅と言うのがありますから、なんとなく親しみのある名字だと思えるのかもしれません。

次に、②の清華家ですが、全部で9種類に分かれます。

清華家の名字の中身は大変珍しいものが多く、「大炊御門」や、「花山院」さん等など・・聞いたことないと思われる方も多いのではないでしょうか。

ただ、①で出てきた「条」がつく名字が、②の清華家でも1つ入ります。それが「三条」さんです。数字が変わっただけなので、なぜ?とも思いますが、これにも何か理由があったのだと思います。

次に③の大臣家です。

大臣と聞くと、現代の◯◯なんとか大臣みたいな印象を受けるのは私だけでしょうか。
大臣家では、「嵯峨」「中院」さんに加えて、ここでも条が出てきます。「三条西」さんです。

清華家では三条さんでしたが、西が追加されています。
しかし、清華家の三条さんも、大臣家の三条西さんも同じ閑院流となっていますので、繋がりがあるという事なのかもしれません。

先祖は貴族かも!?

次に④の羽林家ですが、ここから一気に名前の数が多くなります。

今でもよく見かける名前から上げていきますと、阿野さん、綾小路さん、石山さん、今城さん、入江さん、岩倉さん、石野さん、植松さん、大原さん、大宮さん、小倉さん、桜井さん、高倉さん、高野さん、高松さん、中山さん、難波さん、橋本さん、樋口さん、藤谷さん、堀河さん、松木さん、山本さん、山科さん等など・・・。

自分の名前と一緒だ!と思われた方はいらっしゃるでしょうか?
もしかすると、先祖は貴族と言われるような偉い方だったかもしれません。

他にも、難しい普段聞き慣れない名字が羽林家には沢山あります。
羽林家は6種類の中でも最も多い名字となっているようです。

しかも、これまでとは違い、今現在でも多く使われている名字が沢山出てくると言う事がわかります。

では次は、⑤の名家です。

名家も、6種類の中で2番目に多い名字の数となっています。
今でもよく聞く名前として上げられるのが、岡崎さん、芝山さん、日野さん、堤さん、平松さん、永谷さん、豊岡さん、柳原さん辺りです。羽林家でも多くの見慣れた名字が出てきましたが、名家でも結構馴染みのある名字が出てくる事がわかります。

最後に⑥の半家です。
ここでの馴染みある名字は、石井さん、桑原さん、倉橋さん、白川さん、澤さん、高倉さん、竹内さん、萩原さん、藤井さん、藤波さん、舟橋さん、吉田さん辺りでしょうか。ちなみに、この半家の名前の中には、錦織さんも入っています。

昔の事について、これが絶対と言う事はなかなか断言しにくい部分ではありますが、このような現代でも馴染みがあると思われる名字についても、昔の偉い位についていた方々の名前が現代に受け継がれていると言う可能性はあるというのは歴史を感じられる事実だと思います。

今回は堂上家(どうじょうけ)について解説させていただきましたが、昔の偉い方々は身分が高いだけではなく、名字が色々と◯◯流等によって分けられており、多くの収入を貰っていたり、土地をいっぱいもらえるなどのメリットも多くあったようです。

ちなみに、堂上家と言うのは、天皇が生活をされていた場所であった清涼殿にのぼる事を許されていた人たちの事をいいます。

家系図を作る上で、自分の先祖の名字もたくさん出てくることになります。自分の先祖が使っていた名字を一つ一つ調べてみると、思いがけない事実が判明することも少なくありません。自分の引出しを増やすためにも、一度調べてみることをお勧めします。