戸籍にまつわる基本の《き》

「手続には戸籍が必要ですので、役所で取ってきて下さい」と言われたら、さあどうしましょう。
「役所ってどこの?」「どうやってもらってくればいいの?」「それってお金かかるの?」と、いろいろな疑問がわいてきます。このコラムではこれまでに何度か紹介してきましたが、ここで簡単におさらいをしてみましょう。

「戸籍」とは、国民各個人の生まれてから死ぬまでの出来事を記載した公式の文書です。個人の出生や婚姻、離婚、死亡等の事実を記録して、夫婦や親子などの関係を公証しています。

本籍とは、戸籍の置かれている場所のことです。そのため「現在の戸籍が必要」と言われれば、本籍地がある役所で発行してもらえばいいのです。「戸籍を取ってくる」とは「戸籍証明書の交付請求」を役所にして発行してもうことをいいます。かかる費用は市区町村によって若干の高低はあるかも知れませんが、おおむね1通あたり450円程度です。

おさらいついでですが、「戸籍証明書」には2種類があります。

「戸籍謄本(戸籍全部事項証明)」は現在の戸籍に記載されている全員について全部の事項を証明しており、「戸籍抄本(戸籍個人事項証明)」は一部の者についての全部の事項を証明しています。

ほかに特殊なものとして、希望する事項について戸籍に載っていることを証明する「一部事項証明」や、婚姻・出生・死亡・離婚等の届出をした届書の記載事項を証明する「届書記載事項証明」などがあります。

では、どんな時に戸籍証明書が必要なのでしょうか。戸籍謄本でなくてはだめなケースと、戸籍抄本でも事足りるケースに分けてご紹介しましょう。

必要なのは謄本?、それとも抄本?

家族間の繋がりについて証明する必要がある場合は、基本的に謄本が必要になります。
①「亡くなった人の遺産相続手続きが必要な時」
被相続人(亡くなった人)の出生から亡くなるまでの連続した謄本が必要となります。

②「結婚する時」
婚姻届を提出する市区町村の役所に親の戸籍などそれまでの戸籍があれば必要ありませんが、婚姻する夫婦のいずれかまたは両方のそれまでの戸籍が違う役所にあるのであれば、謄本が必要となります。

③「公正証書遺言を作成する時」
公正証書遺言は公証役場で第三者立ち合いのもと作成するもので、その際に正確な相続関係を把握する意味でも謄本が必要となります。自筆証書遺言の場合は原則として必要ありません。


何かを申請する際に、申請者本人情報だけで済む場合は抄本で問題ないと考えていいでしょう。

①「パスポートの申請をする時」
自分のパスポートだけであれば、抄本で問題ありません。もし同じ戸籍内の家族の分と一緒に申請するのであれば、必要な家族の分もまとめて申請すれば大丈夫です。

②「生命保険を請求する時」
基本的には抄本で問題ありません。ただし法定相続人などとの関係を証明する必要があるので、念のため保険会社に確認して下さい。「どちらでもかまいません」と言われれば抄本で大丈夫です。

③「年金を受給する時」
このケースも生命保険と同様に、年金事務所によって判断が異なる場合があります。必ず確認してから請求しましょう。

戸籍からわかることって何?

「戸籍謄本(戸籍全部事項証明)」でわかることとは、どういうことなのでしょうか。
・「本籍」=前述の通り、戸籍の所在場所です。戸籍証明書は本籍地の役所で発行してもらいましょう。

・「筆頭者の氏名」=戸籍が新たに作られた際(=編製された際)に決まります。婚姻の場合は名乗る氏の者です。筆頭者は死亡しても、戸籍の記載はそのまま筆頭者として変わりません。

・「戸籍事項」=編製日に始まり消除するまで、戸籍の変遷が記載されています。

・「身分事項」=出生(出生日・出生地・届出日・届出人)、婚姻(婚姻日・配偶者氏名・従前戸籍)、養子縁組・離婚・認知・氏の変更などが書かれています。

・「父母・養父母の氏名および続柄」=読んで字のごとくです。

・「在籍する人の名前」=戸籍に入っている人の名前が書かれています。

・「生年月日」=氏名欄の横に記載されます。

これらのことから、戸籍からは自分が存在していることや家族との関係をきちんと証明してくれていることがわかります。利用するケースから考えると、戸籍謄本を見る機会は滅多にないかもしれませんが、1部発行してもらって身近なところに保管しておくのもいいのではないでしょうか。