日本で生活していれば、戸籍というものについては知っていると思います。しかし「戸籍とは何か?」と聞かれて、答えることができるでしょうか。

ほとんどの方にとって戸籍は「名前とか家族とかの情報を国に登録するもの」というイメージが強いのではないでしょうか。

また戸籍について、あまり関わりのない若い世代の方々には「結婚や離婚のときに登録するもの」という漠然としたイメージがあるかと思われます。

そこで、ここでは「戸籍とか何か?」という、あやふやだった知識やイメージをはっきりさせたいと思います。一体何が書かれているもので、いつから始まったものなのか。

戸籍に記載されていること

Wikipediaには、 「戸籍(こせき)とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書である。」と書かれています。

上記の説明だとわかりにくいと思いますので、簡単に言い換えると「家族の構成を登録(証明)する制度」ということになります。

つまり、「誰と誰が結婚していて」、「子供が誰で両親が誰で」ということです。

では具体的に戸籍には何が書いてあるのかということですが、

・本籍(戸籍を管理している市町村)

・筆頭者(戸籍簿の一番最初に記載されている人)

・在籍する人の氏名と生年月日

・続柄(父母、子など)

・戸籍に入った年月日

・身分事項(出生日や婚姻日など)

・戸籍事項(戸籍の編製をした日にち等)

以上の7つの項目等が書かれています。

「本籍」、「身分事項」、「戸籍事項」などほとんど聞きなれない言葉だらけだと思います。

しかし、これらの7項目があることで婚姻・離婚の届出がスムーズにいき、また遺産相続に際の重要な資料にもなります。

戸籍の歴史

では、このような制度は、一体いつから始まったのでしょうか。

なんとそれは日本書紀(日本最古の歴史書)に記録があります。

飛鳥時代

6世紀中頃、現在の戸籍のようなすべての人を対象としたものではなく、当時は渡来人(海外からわたってきた人)などを対象としたものでした。

身近で使用される戸籍に想像以上に古い歴史があることがわかると思います。

その後、みなさんが歴史の授業で習ったであろう、645年の「大化の改新(たいかのかいしん)」で戸籍が制度化されます。

そして、670年に「庚午年籍(こうごねんじゃく)」と呼ばれる制度が作られました。

これが大化の改新以後、日本で最初につくられた、整った形での全国的な戸籍です。

当時の戸籍の保存年数が30年だったのに対し、庚午年籍は永久保存とされました。

その後の、690年には「庚寅年藉(こういんねんじゃく)」という、また別の戸籍制度が作られています。

これは6年ごとに作成され、当時の課税制度や徴兵制度のために、家族構成や身分を記載していたそうです。

日本の戸籍制度は、実は思った以上に早い段階でつくられていたことがわかります。

日本史の教科書でいうと、ほとんど最初の十数ページに書かれている時代のことです。

この時代で作られた戸籍制度が、様々な変更を経て現代まで続いたと思いきや、9世紀初頭(平安時代)に全国単位の戸籍の作成が行われなくなってしまいました。

当時、今まで続いてた制度が大きく変わり、全く新しい制度に変わったためと言われています。

上記の「庚午年籍」と「庚寅年藉」もすでに現存していないようです。

そして、その後の鎌倉時代と室町時代。

鎌倉時代

この時代は、戸籍に類似したものは作られていたことは推測できるものの、現存する史料が何も残っていないそうです。

では、次に戸籍制度が歴史に出てくるのはいつか。

それは安土桃山時代、豊臣秀吉によって行われた「太閤検地」です。

安土桃山時代

これは年貢としての米を取り立てるためのもので、その土地の広さや、どれだけの収穫があるか、そこの農民は誰なのかを帳面に書いたものになります。

この当時でも戸籍は「課税のための制度」という色が強いということがわかります。

そして江戸時代には、幕府の作成した「宗門人別帳」という民衆調査の台帳と、お寺の作成した「過去帳」とよばれる台帳が戸籍制度にあたります。

まず「宗門人別帳」ですが、これは領主が村ごとに作成させた帳簿です。 家ごとに家族構成と檀家となっている寺とその寺の証印が書かれています。

そしてお寺にある「過去帳」です。

これは別の記事でも書きましたが、簡単に言うと「ご先祖様の名前(戒名)と亡くなった年が書かれている帳簿」です。

江戸時代の戸籍も「課税のための制度」という色が強いです。

さらにこの時代、幕府は鎖国という海外との交流を制限しており、そしてキリスト教も禁止しています。

そのため「宗門人別帳」には「キリスト教禁止のため」という色が強く出ています。

さて、戸籍制度ですがだいぶ昔からあることがわかりました。 しかし未だに現在の戸籍に近いものは一向にでてきません。

そんな中、1825年に長州藩(今の山口県)で戸籍法が施工されます。

これは近代戸籍法の原点とされています。

そして時代が変わり、明治・大正時代を迎えます。

明治5年に日本で初めての本格的な戸籍制度が開始されます。

一番最初に書いた6世紀中頃から、約1200年近くたっています。

その後、明治19年、明治31年、大正4年に変更が加わります。

ようやく現代につながる制度が整ってくることになります。

ただ、第二次世界大戦後の昭和23年。ここでまた新しい戸籍法が施工されます。

戦後

この戸籍法では、戦前が「家」を基本単位としていたのに対して、夫婦とその子供(2世代)が基本単位されることになりました。

つまり、ようやくここで現在の戸籍制度ができたことになります。

戦後から戸籍制度が大きく変わることはありませんが、細かい変更はあります。

1994年(平成6年)に電算化が進み、PCで戸籍を管理する自治体も増えてきました。

最近ですと、2004年(平成16年)、PCのオンライン上で戸籍手続を可能とする法改正が実施されました。

いかがでしたでしょうか?家系図を作る上でも重要な「戸籍」は元々いつできたのか、何が書かれているものなのか。

それは時代によって変化する、一言では説明できない、できては無くなり、できて変わって無くなるの繰り返しでした。

戸籍というのは時代によって言い方や制度や目的に違いはあれど、 日本の歴史のなかで常にあったものと言っていいのではないでしょうか。