「文献調査」から、いよいよ「実地調査」へ

戸籍を過去へと遡って家系を辿ってゆくと「大正4年式戸籍」まで手に入れることができ、だいたい江戸後期のご先祖さまに出会うことができます。ではその先、まだ戸籍制度ができていなかった時代を探ることはできるのでしょうか。

といったわけで、江戸時代からそれ以前のご先祖さまに出会う旅を、前回からご紹介しています。戸籍調査でわかるもっとも古いご先祖さまの本籍地から、どの土地に暮らしていたのか、どんな仕事をしていたのか、家系の成り立ちはどのようなものだったのかといったことが少しずつわかってきます。

前回では「文献調査」として、本籍地からわかる情報をどのように探ったらよいか、について簡単にご紹介しました。そこで今回は「実地調査」にでかけましょう。まずは、実地調査に行く前にやっておかなければならないことを、前回のおさらいと併せて確認していきます。貴重な調査が無駄足にならないように、しっかり準備をして臨みましょう。

現地調査の事前準備①~持っている情報を整理

戸籍より古い家族の歴史に足を踏み入れるためには、これまでに収集した情報をしっかり整理しておく必要があります。戸籍で確認できている先祖について、名前・本籍地・家紋・屋号・職業・お墓のある場所など、わかっている範囲でいいですからまとめておきましょう。箇条書きのようなフォーマットでもかまいませんが、時間的な余裕があれば家系図を作っておくことをおすすめします。

現地調査の事前準備②~家系図を作成

家系図を作っておけば、自分の頭の中が整理できます。さらに、今後進めてゆく調査の中で身近な親戚や、現地で会う遠縁の親戚、その土地で家系を継いでいる本家筋の方、神社の神職や寺の住職などに説明する際、とてもスムーズに理解を得られることと思います。 家系図を作って「一生懸命に自分のルーツを探しているんだ」という熱意が相手に伝わることで、その土地に暮らす人たちにとっても誠意ある対応をしてもらえる可能性も高まるのではないでしょうか。御礼の菓子折りの一つも必要かもしれませんが、「菓子折りより家系図!」という気持ちで準備しましょう。

現地調査の事前準備③~図書館などでの文献調査

前回にご紹介した通り、現地調査に入る前に文献調査は済ましておくべきです。国立国会図書館を始め、現地の図書館、郷土資料館、教育委員会、博物館などに収蔵されている郷土史などの資料が有益です。また、現地の施設担当者にコンタクトをとっておけば、郷土史研究をしている人に繋がるかもしれません。人脈作りにもなります。なにより、文献調査の段階でご先祖さまの本籍地に限りなく近づいておくことができれば、現地調査の効率もぐっとアップすることでしょう。

いよいよ現地へ。あなたは「本家?分家?」

さあいよいよ現地調査です。ここまでの戸籍を元にした家系図作りの過程でだいたいわかってはいると思いますが、自分は「本家筋」なのか「分家筋」なのかということを考えてみましょう。 本家筋とは直系の嫡男家系のことをいいます。家を基本単位とする戸籍制度が始まった明治31(1898)年から、終戦後の昭和23(1948)年に戸籍法が改正されるまでの50年間。日本では法の上でも長男が戸主となって家を統率していました。つまり長男が継ぐ家系を本家筋、その他の男子は本家から援助を受けて分家となったのです。

戸主が廃止されて70年が経ちますが、今もなお本家筋は先祖代々の土地とお墓を守っているケースは多いはず。もし自分が分家筋であるとすれば、どの世代から分家となったのかを家系図で確認しておきます。それを基に、本家筋を探してコンタクトをとっていきましょう。実際にはご先祖さまの本籍地とは離れた場所に暮らしているというケースもありますが、丁寧に事情を説明して訪ねると、過去帳や家系図を保管し、見せてくれるかもしれません。また、菩提寺やお墓の場所もわかると思います。ここで得た情報を一つずつ自分が作成した家系図の空欄に埋めていけばいいのです。

菩提寺とお墓にも重要な情報が

本家の方にご紹介いただいて、地元の名主(庄屋)を訪ねてみるのも重要です。過去帳・家系図に限らず、江戸時代の古文書「宗門人別改帳」があるかもしれません。墓石には戒名、俗名、命日、享年が印されているものです。江戸時代のものとなると風化が激しく解読困難になっている場合がほとんどですが、少しでも得られる情報があれば、写し取って古文書と照合してみて下さい。一致する部分を繋いでいけば、より深いルーツに出会えることでしょう。

現地調査は慎重に

深追いせず注意しておかなければならないのは、地域のお寺や墓地といった場所はとてもデリケートな場所だということです。現地調査の際にはくれぐれも、その地域にご縁がある本家筋や遠縁の親戚の方などに同行をお願いして決して深追いはぜず、慎重に行うようにしましょう。もし難解でわからない場面にぶつかってしまったら、専門家に調査を委ねるという方法もありますのでこれも方法として覚えておくとよいと思います。