家督相続とは?

家督相続(かとくそうぞく)という言葉は、相続と言う言葉が入っていますが、家督と言う意味がよくわからないと言う方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、隠居(いんきょ)と言う言葉は、一度は耳にされた事があると言う人も結構いると思います。

一般的によく私たちが耳にしやすいのは、時代劇などのドラマに出てくる「ご隠居様」と呼ばれる人たちです。
また、◯◯が何年に隠居し・・などのナレーションが入る時もありますよね。

では、まず始めに家督相続からお話をしていきましょう。

そもそも、現在の相続から考えると、少しかけ離れた相続の形と言ってもいいと思います。

先に、現在の一般的な相続から解説をしておきます。例えば、夫婦、子2人と言う家族構成の家庭があったとします。
ちなみに、相続が発生する時と言うのは、基本的に被相続人(亡くなられた方)が亡くなった時に相続が開始されます。

この例の家庭で相続が発生したケースでお話してみましょう。

もし、父が亡くなった場合は、その父は被相続人と呼ばれ、相続をする側となります。

相続を受ける側である相続人は、家族である、妻、子2人となります。
遺言書があれば、基本的に遺言書の内容の通りに、相続が行われます。

しかし、現在の法律には、誰かが貰いすぎると言う事を防ぐ為のルールもあります。

そのルールを遺留分と言うのですが、家族の中の誰か1人だけが相続をすることになった場合、他の方々には相続されないわけですから、不公平が生じますよね?

そこで、法律では、その不公平を避ける為に、最低限このくらいは相続で受け取れる財産の割合を決めています。

また、遺言書がない場合については、誰がどのくらい相続するのかの指針として、法律によって、誰がどのくらい貰うかについての範囲を決めており、この事を法定相続と言い、これによって相続を受ける相続人の事を法定相続人と呼びます。

現代には合わない家督相続

法定相続人は、まず順位付けから行います。

まず、妻は配偶者ですので、絶対的に相続人となります。
次に、子である第一順位の直系卑属と呼ばれる方々が相続をする事になります。

その為、この法律通りにすれば、基本的に不公平が生じると言うトラブルを防ぐ事ができます。相続は、トラブルが起こりやすいですからね。

では、家督相続と言うのは、一体どのような相続なのでしょうか?

簡単に言うと、兄弟や姉妹がどのくらいいたとしても、基本的に長男がその家の財産全てを相続する事を家督相続と呼びます。

え!?と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうです、はっきり言って、現代でこれをやってしまうと、完全に不公平な相続に思えると思います。

同じ家に生まれて育ったのに、生まれた順番が1番か1番ではないかによって、1人が相続を独占し、それ以外の人は貰えないと言う事になってしまうわけです。

しかし、この家督相続にも、昔の日本の古い考え方があると言う背景が伺えます。

昔は、その家を代々受け継ぎ、その家の主となって守っていくと言う考え方が強かったので、このような家督相続という事が行われていたのでしょう。

名を受け継ぎ、家を守ると言う意味合いでは、その次に受け継がれ、守っていく者が全てを相続して、引き続き家を受け継いで行くという考え方でしょうか。
そもそもこの家督相続と言うのは、いつ頃行われていたものなのでしょうか?

時代は遡り、明治31年の7月16日の明治民法の施行から、家督相続が行われていたようです。

明治民法の施行から、有効とされた期間は戦後に民法が改正された昭和22年の5月2日までとされ、明治は45年まで続きますから、およそ、36年間くらいの間、家督相続が実在したと言う事になります。

そう考えると結構長い期間、今では不公平だと思われるような家督相続がなされていたと言う事になります。
ちなみに、家督相続は、現代のように誰かが亡くなった時に開始されると言うわけではありませんでした。

家督相続のルール

家督相続は、前途で出てきた隠居をした時や、入夫婚姻と言って、民法の旧規定のもとで女戸主(にょこしゅ)である妻の家に夫が入ると言う形の婚姻の場合や、国籍喪失などの場合において、現在の被相続人と呼ばれる側の方が生きている場合でも家督相続が行われる事がありました。

家督相続における相続をさせる側の事を、戸主と言います。いわゆる、その家の主と言う意味合いですね。

その戸主に上記のような隠居等が発生した場合にも、家督相続は行われたと言う事になります。

隠居と言うのは、戸主であった人が、その家の家督を譲って隠退する(現在で言う引退みたいなもの)事を言います。
つまり、戸主だったけど、私は隠居するから、戸主を譲って家督相続させますよって事ですね。

また、家督相続では、一番最初に生まれた男子である長男が全部を相続すると言うのが基本的な前提となるルールなのですが、その長男がいない場合はどうしたかと言うと、ここにも具体的な順位が設けられておりました。

この順位があると言うのは、現代の相続に関する法律でも同じですね。
第一順位となるのは、先程も出てきた直系卑属(ちょっけひぞく)と呼ばれる方々であり、何人かいる場合は被相続人(亡くなられた方、若しくは生前中の戸主)と1番親等が近い人です。

次に第二順位が、戸主が生前に指定、若しくは遺言した人。
第三順位が、戸主の父母、または親族が同じ籍の中から選んだ人。
第四順位が、戸主の直系尊属(ちょっけいそんぞく)と言われる父母や祖父母、曽祖父など。
第五順位が、戸主の親族や、分家の戸主等など・・・と言うように、順位が決まっていたのです。

現在の相続に関する法律の順位とは、中身が違いますが、同じように順位付けが行われていた事がわかりますね。

このように、昔の法律では、現在の法律とは違う家督相続というものが存在していたと言う事がわかって頂けたと思います。
ただし、家督相続の制度については廃止されてはいるのですが、相続登記に関しては現在も家督相続が適用になる事があります。

つまり、相続によって土地などの名義変更をすると言う事です。
この場合は遺産分割協議が不要となっていますから、注意が必要だと言えるでしょう。

日本にも長い歴史がある中で、法律にも様々な歴史があります。家系図を作るとそんな歴史も垣間見ることができ、それを理解することで家系図作りもスムーズになります。
昔はこのような事が当たり前だったんだな~と少し想像してみて頂けたらと思います。