企業のトップに立つ経営者とは、何か人とは違った特別な資質を持ち合わせているのではないかと思います。事業の舵取りとなる強い決断力やリーダーシップを発揮する能力といったものを持ち合わせているということはもちろんでしょう。
それと併せて、株主・役員・取引先・社員からの信頼と人望がなければその座が務まらないこともよくわかります。優れた経営者になる人の人物像とは?人を惹きつける魅力とは?若しくはこだわり続けている事など、何か共通するものがあるのかも知れません。それを探ってみようと思ったところ、興味深い2冊の本に出会ったので、ご紹介しましょう。
目次
家系分析で自分のルーツを探ると人生は好転する
まず1冊目にご紹介する本は、天明 茂『なぜ、うまくいっている会社の経営者はご先祖を大切にするのか』(致知出版社 2015年)です。
公認会計士でもある著者によるこの本には「家系分析をすることで、人生が好転する」ということが書かれています。具体的には、まず家系図を作成し、三代前までの祖先を知ることから始めます。つまり自分から見て曾祖父母。4人の祖父母の両親ですから8人。
それぞれの人生、人となりをじっくり調べてゆくことが大切だとしています。そしてわかったことをしっかりと受け入れ、見つめることで人間性が高まり、やがて人生観が大きく変わってくるのだそうです。
家系分析と経営の関係性とは?
一見、家系分析と優れた経営者とは無関係に思うかもしれませんが、先祖を知るということは、すなわち先祖の徳を讃え感謝すること。また、先祖の苦しみや悲しみを自分のこととして共有すること。さらに先祖が苦労したことは反面教師として繰り返さぬよう努力を重ねることに繋がる、ということを教えてくれます。
曾祖父母の人生を見つめることによって、8人のご先祖様に見守られているような感覚になるのでしょう。さらにその家系をたどって遡れば、たくさんの先祖に出会えることになります。「今、自分があるのは先祖のおかげ」と思えることができれば人間性は高まり、子や孫の世代へ続いてゆく家系を守ろうという気持ちに繋がります。
また経営者として舵を握る企業においても、従業員・従業員の家族・取引先・株主を大切に思う気持ちは一層大きなものとなることに間違いないでしょう。
優れた経営者は先祖を大切にしている
2冊目にご紹介する本は、一条真也『なぜ、一流の人はご先祖さまを大切にするのか?』(すばる舎 2017年)です。
1冊目にご紹介した本のタイトルとよく似ていますが、どうもここ数年の出版業界におけるビジネス書の流行なのだそうです。が、今回ご紹介している2冊における「一流の人」「うまくいってる人」とは、単に経済第一主義で企業を牽引し、金銭的な豊かさを勝ち取った成功者ではなく、「高い人間性を持ち、尊敬される人物」のことを言っているのをご理解いただきたいと思います。
経済第一主義の人物を「優れた経営者の特徴」として、思い浮かべるのはごく自然なことですよね。しかし金銭面の豊かさを測りとして、「成功者」や「勝ち組」であると本当に言い切れるのでしょうか?
もし仮にあなたが経済第一主義を掲げてがむしゃらに頑張ってきた結果、多額の売上を計上したとしましょう。きっと「金銭面だけでは何か物足りない」「なんだか虚しさや寂しさを感じる」といった感覚を憶える機会が増えるかと思います。これは既にご自身で体験し、何かしらの疑問を抱いた方もいらっしゃるかもしれません。
先祖を大切にすることで自分を高める
著者は作家であり、冠婚葬祭の会社を経営しつつ日本人の宗教意識や倫理観についての言論活動を続けてきました。そういった経歴から、日本人が持つ独特の宗教観をもとに「ご先祖さまを大切にする」という気持ちを行為として表すさまざまな方法を紹介しています。
興味深い記述では、「常にご先祖さまに見守られているというプレッシャーが良いエネルギーを引き出す」「ご先祖さまを敬うことは初期化すること。何のためにこの仕事をしているのか。何のためにこの会社が生れたのかを自問自答すること」「人は一代だが、名は末代と心得る」といったことがありました。
日本には「これ!」と決まった宗教はありませんが、宗教や宗派ではなく先祖を敬う気持ちを大切にしてきた国民性は間違いないと思います。やはり自分のルーツを知ることで自分や家族、もしあなたが経営者であれば会社の従業員など、幅広く一人一人が「己」を深く知ることはまたとないチャンスであると言えます。
日本古来からの風習を知る
最近の流行り?とまではいかないのでしょうが、よくテレビや新聞、雑誌やインターネット等の情報ツールに「自分探しの〇〇」といった文言などが話題になったり、何気に見たり聞いたりすることも増えました。その中でも、自分を発見するツールとして「家系図」を通して先祖を知る事で、それに纏わる見聞も広がるのではないのでしょうか?
日本は古来から、まず名字を名乗ってから個々の名前を名乗る風習があります。それが当たり前のように感じる方も多々いらっしゃるかとは思いますが、とくにアメリカやカナダといった北米、イギリスやフランスといったEU周辺諸国に属する人々や中近東の国々の人々は、まず名前を名乗るのがいたって普通だったりします。
前者と後者、「どちらの文化が正しいのか?優れているのか?」という議論はさておき、家系図や名字を調べることも先祖を大切にする行為の一つとしてあげられています。先祖は目に見えぬ存在のため、神棚や仏壇を設けて向き合う対象物とすることも薦めていますが、ここは読み手それぞれの宗教観に則ればいいでしょう。
一貫してとてもシンプルなことばで書かれており、先祖を大切にする行為がどのようにして自分を高めてゆくのかがわかりやすく伝わってきます。
優れた経営者は先祖を語れる人が多い
後の世にまで語り継がれる一流の経営者とは、先祖のことをよく知り大切にしていた、ということが2冊の本からもよくわかってきます。
こういう人たちはきっと「自分の曾祖父にこういう人がいて、こういうことをしていたから今の自分があるのですよ」というようなことを、サラリと言うことができたのでしょう。自分の先祖を語れるということは、人間力があり実に格好いいものだとは思いませんか?
人間性が高く尊敬を集める人は、なるべくして企業の先頭に立って引っ張ってゆける経営者になるのです。今からでも遅くはありません。家系図を作るなどして、まずは「ご先祖さま」を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。家系図を作成するにあたっての準備しておくべきポイントは、こちらの記事で詳しく記載しておりますので、参考にしていただければ幸いです。
▼参考記事▼
【保存版】プロが教える!家系図作りの準備のポイント!
まとめ
いかがでしたか?優れた経営者が持つ特徴は理解出来ましたでしょうか?先ほども述べましたが、経済第一主義、金持ちが「成功者」や「勝ち組」ではないのです。優れた経営者とは「高い人間性を持ち、尊敬される人物」のことです。
そうなるためにも自発的に「私は成功者、勝ち組に何が何でもなりたいのだ!」と決意すると、実は自分の家にも「家系図」があったりと、様々なドラマチックな展開が生まれることもあります。
自分探しの道の途中に、たまたまそれを見つけるきっかけを教えてくれる人に巡り会うこともあるかも知れません。人間は誰しもが「もっと幸せになりたい」と願う気持ちを持っています。その気持ちに素直になり、自ら手を伸ばそうとすると人生は大きく動き出すこともあるのです。
誰も「自ら幸せになりたい!」という気持ちを否定することは絶対的にできません。ご先祖さまを大切にするというシンプルな行為にも、様々な方法や色々な想いがあるということがお分かり頂けたのではないのでしょうか?
また、「継続は力なり」という言葉があるように「これだけ家系図を調べたぞ!」または「名字を調べたぞ!」「よし!これで僕(私)も大丈夫!」と途中であきらめずに最後まで挑戦し続けた事が自信につながるだけでなく、それに付随して「先祖を大切にする」という想いを持ち続ける事ができれば、もっとより良い人生が送れるのではないのでしょうか?