女性の方が家系図やご自身のルーツを知る上で、疑問に思ったことはないでしょうか?それは、家系図を見ると「女性の家系図が書かれていない」ということ。日本は昔から「男尊女卑」と言われていましたが、母方の家系はさかのぼることができないのでしょうか?

結論から言いますと、女性のための家系図(母方の家系)も作ることができるのです。そして、この母方の家系を知ることによって、1番体感できることは、「母の偉大さ」です。

今回は、なぜ家系図には母方の家系が載っていないのかを説明してから、どのようにしたら母方の家系を調査・作成できるのかについて、お伝えしていきます。

女性の家系がまったく書かれていない家系図?!

あなたも、大河ドラマなどで「代々伝わる由緒正しき家系」などのうたい文句を聞くことがありませんか?その時にふと思ったんです(私の「家系」ってどうなっているのかな?)。そこで「家系図を作ってみたい」となにげなく父親に話してみたところ、「うちに家系図はあるぞ」と言って、書棚から古そうな紙を取り出してきました。

見せてもらうと表紙には「○○家家系図」と重々しい毛筆書で書かれています。早速興味津々でワクワクしながら広げてみました。そこには○○家の家系が自分から見て、江戸時代の中頃まで書かれていました。我が家にもこんな歴史が!!と思い、誇らしくなったのは、いうまでもありません。

女性の家系が書かれていない家系図

家系図を見てとても感動し、ご先祖様の生きた時代に思いを馳せたのですが、何か物足りない気分になります。その家系図には、女性の家系がまったく書かれていないのです。

それぞれの先祖が、どこどこ村のなになに家から嫁いできた女性と結婚した、ということまでは書かれています。ただ身近なところで母方の祖父母、あるいは父方の祖母の家系については、まったく書かれていません。この家系図は直系男子の家系図で、○○という名字の系譜を示したものなのです。

日本でも江戸時代あたりから、今では「男尊女卑」と言われるような風習が根付いていたとされています。当時は、女性は生まれながらにして男性を尊敬し、妻は一歩後ろで・・・と言うのが当たり前だったようです。ですが、男女差別が問題視される現代においてこのような考えや風習はあまりに時代遅れではないでしょうか?何なら、女性側から見た女系の家系図があっても良いと思いませんか?

そこで、触れられていない女系の家系図を作ってみようと決心しました。

女性の家系にも目を向けてみよう

家系図を作ろうとして、こんな場面に出会うことはよくあるでしょう。

以前は、家系図と言えばこういうものでした。つまり男系だけを記載したのものがほとんどだったのです。父親の兄弟姉妹の子ども、自分から見れば従兄弟(従姉妹)について、女性は「女一」とか「女二」といったように記載され、名前すら書かれていないという家系図もありました。

つまり、「家系図」とは「代々受け継いできた名字」という認識になります。その為、跡取りとなり名字を継ぐ男児が尊ばれ、嫁ぐことにより名字が変わる女児は卑しまれる時代があったのです。

昔の日本はこれが常識だったわけで男尊女卑といったことではないかもしれませんが、いくらなんでもこれでは女性が気の毒です。やはり女性の家系もきちんと調べて作成したいと思います。

頑張って5代前まで辿るのがオススメ

もし、家には家系図が継承されておらず、一から家系図を作成しようということになったとしたら、まず辿る家系の範囲を計画的に決めてとりかかることをおすすめしています。どこまで遡るかでその難しさと家系図の大きさは何倍も違ってきます。実際にどれだけ大変な作業になるかは、家系図の作成に取り掛かる前にある程度決まってきます。

両親・両親の両親・そのまた両親といったようにすべてを記載しようとすると、10代前の直系尊属は1024人と膨大な人数になってしまいます。大きな世界地図を広げても書ききれる量ではありません。そこで基本は、男子直系で自分の名字を辿ってゆくという方法が一般的です。併せて女系も調べてゆこうということでしたら、たとえば5代前まではすべての直系尊属を辿ってみるというのはいかがでしょうか。

「5代前」とは、自分からみて曾祖父母の祖父母ということになり、全部で32人。曾祖父母までは辛うじて名前くらいはわかると思いますが、さらに2代前となると名前はおろか、さっぱりわかならい遠いご先祖様なのではないでしょうか。苦労もあるかと思いますが、なんとか頑張って5代前まで調べてみましょう。すると、思わぬご褒美が付いて来るかもしれません。

戸籍や古文書で5代前までを辿ることができると、高い確率でその資料には6代前以前の先祖の情報も記載がされているはずです。そこで、わかる範囲までを家系図に記載しましょう。さらに、5代前32人の中には、このご先祖様の家系をもう少し先まで辿ってみたい、といった興味が湧く職業や身分、家系が見えて来るかもしれません。そこからは好奇心の赴くままに調査を深めてはいかがでしょうか。

戸籍や古文書で見つからない場合、その先は調べることの出来た最古のご先祖様の住んでいた地域に足を運ぶ必要も出てくるかも知れません。ここから先は苦労の連続になるでしょう。ですが、そこを乗り切った際には、もしかすると思いもよらない有名人や芸能人、歴上の偉人が遠い親戚にいるかもしれません。そう思うだけでも何だかワクワク楽しくなってきませんか?

女系を辿ると母の偉大さがわかる?

家系図作りに決まり事はありません。男系の直系尊属を必ず調べなければいけない、という決まりもありません。特に直系の長男という立場でもなければ、自由な発想でご先祖様を辿ればいいのです。今回は女系のご先祖様も大切にしよう、というテーマなので、母親の家系を辿ってみましょう。

ただし、家系図の作成には守らなければならないルールや決まりなどはありませんが、縦型の家系図、横型の家系図など一般的な手法・様式などはあるようです。これは家系図を見た人が、その繋がりを把握しやすくするために一定の決まりにしたがって作成する方が良いと言う理由からだそうです。

母方の家系も調査が出来る

そこで「母親の家系の戸籍は申請できないのでは?」と思われる方がいらしゃるかもしれませんが、その心配は無用です。戸籍を申請できる人は「請求する戸籍に記載されている方、またはその配偶者、直系親族(父母、祖父母など)、直系卑属(子、孫など)」ということですので、親子関係が続く直系であれば申請できます。つまり男系の直系と同じように母方の家系を調査することが可能なのです。「母親の家系の戸籍は申請できない」と思って尻込みされていた方も、これで安心ですね。

子供のころを思い起こしてみてください。父親よりも母親と一緒に過ごした時間の方が長かった!そんな人も少なくないはずです。もしかすると、子どもの頃から父親の故郷よりも、母親の故郷に遊びに行くことが多かった、という方も多いでしょう。そんな方にとっては、自分の子ども時代を訪ね直すような懐かしい旅になるかもしれません。こうした思い出や、母親のルーツを辿り家系図を作ることで感謝の気持ちや母からの愛、自らのルーツとなる女性のたくましさ等がどんなに大きかったのかがいっそうわいて、ご先祖様への感謝のお墓参りや親孝行しようという思いがよりいっそう強くなると思います。

また、家系図は日々の生活の中でも思わぬところで役に立ったりします。例えば、相続の際にも家系図が役に立ったりします。子供が居ないご家庭でも、自らのルーツを知り人生を豊かにしてくれるかも知れません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、女系のルーツを知る上での家系図作りについての話となりましたが、「母なる大地」「母なる海」と例えられるように、「母(女系)」がいてこその生命のルーツです。

男女平等の時代だからこそ、女系のルーツを知り、母親の偉大さを実感できるのが、女性のための家系図です。

もちろん歴史をさかのぼってみると、男が尊ばれた時代があったことはまぎれもない事実ですが、「母は偉大なり」という言葉を胸に、女系の家系図作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。きっと素敵な発見に繋がると思います。