私達のように家系図を作る仕事をしていてたまに言われることの一つが、「ウチは子供がいないから家系図を作っても、引き継ぐ人がいない!」というものです。子供のために家系図を作る家庭は多く、子供がいることは家系図を作る動機になります。

では、子供がいない家庭では家系図を作る意味がないのでしょうか。もちろん、決してそんなことはありません。家系図は誰かのために作るのもオススメですが、自分のために作っても十分意味があるものなのです。そこでこの記事では、子供がいない夫婦や家庭で家系図を作る意味について解説します。

家系図を元に語り合うことが、かけがえのない時間に

家系図を作るということは、自分の知的好奇心を満たしてくれたり、ご先祖さまを知ることで供養したいと想う気持ちを実現させたりすることに繋がります。自分にとって人生の節目となるタイミングで、ルーツを探り家系図を作るということは、忙しい日常の中で一度歩みを止めて、これまで生きてきた過程を振り返り、自分自身を見つめ直すことなのだと思います。

また、自分は家系の中で一つの点でしかありません。家系は遠いご先祖さまから繋がって、自分を経由したら子孫へと受け継がれてゆくものです。そういうことからも、家系図を作り子や孫へと継承してゆくことは、長い家系の中でもとても重要な役割を果たすことといっていいでしょう。
たとえば子どもが成人した時、あるいは結婚して新たな戸籍を作る時でもいいと思います。家系図や家系譜を広げて、自分たちのルーツがどういうものであったのかを説明し語り合うということは、かけがえのない時間になるに違いありません。

継承する子どもがいなくても、家系図作りは「あり」

では、子どもがいない方はどうでしょう。家系を子孫に繋いでゆくことはできないわけですが、家系図を作る意味はあるのでしょうか。答えは「あり」なのです。今回はそんなケースをスッキリさせていきましょう。
まず自分に子どもがいないことと、家系図を作るか作らないかは切り離して考えるのがいいと思います。そこで大きく3つの目的に分けてみました。

1.自分の人生を振返るため

冒頭にも書いた通り、家系図作りは自分の知的好奇心を満たしてくれます。ご先祖さまのことを調べルーツを辿ってゆくという行為そのものがとてもいい供養になるのだと思ってください。そうすることによって自分が生まれてきたこと、これまで生きてきたことの意味を感じられるはずです。ご先祖さまに対して素直に感謝する気持ちが芽生えてきて、とても価値ある時間を過ごしたことになるでしょう。

2.自分が生きた証を残すため

自分が生きた証を残す、ということでもっとも本能的なのは、子どもを作りDNAを次の世代に繋ぐことです。
動物や植物の本来の在り方というのは意識するしないに関わらず子孫へと遺伝子を繋ぐことなわけですから、これは人間にとっても同じこと。人間は進化の過程の中で動物の本能的な行動を失いつつあると言われています。少子化が社会問題になろうかという現代、子どもをもうけない人が増えていることも事実です。では自分に子どもがいない場合、自分の生きた証はどうやって遺したらよいのでしょうか。
2016年に亡くなった放送作家でタレントの永六輔さんの名言に、「人間は二度死ぬ、個体が潰えたら一度目の死。この世界中で誰一人として自分のことを覚えている人がいなくなったとき、二度目の死を迎える」というものがあります。誰でも二度目の死の時は訪れるのです。このことは子どもや孫に恵まれていても、子どもがいなくても平等。そうしたことから家系図を作ることをお勧めします。
託す相手は親戚、特に下の世代となる甥や姪がいいでしょう。家系図の作成者として自分と配偶者の名前を入れておくこと、家系図を託した相手と自分との関係を記すようにしてください。

3.自分の人生を豊かにするため

何より、ルーツを探し家系図を作り上げることは楽しいことです。家系図のよいところは、人生を豊かにしてくれることといって間違いありません。ご先祖さま縁の土地を訪ねたり、遠縁の親戚の方やその土地の方々のお話を聞いたり写真を見せてもらったり、ご先祖さまのお墓参りをすることができたり、これらはもはや自分だけのロードムービーが作れてしまうほど魅力的な体験になるはずです。一人で自由気ままに出掛けるのもいいですし、奥さまか旦那さまと共に出会いを共有する旅にするのもいいでしょう。

家系図作りは、自分を成長させてくれること

いかがでしたでしょうか。家系図は決して子孫に繋ぐためだけのものではない、ということをおわかりいただけたと思います。家系図作りを通じて、ご先祖さまを想いルーツ探しの旅に出る方も増えているといわれています。結局家系図は、誰かのためにやることだけではなく、自分を成長させてくれる一つのキッカケになることなのかもしれません。