あなたは、自分のルーツであるご先祖様が昔どんな人だったかをご存じですか?人によっては祖父母に「あなたのひいお祖父さん、お祖母さんはこんな人だったんだよ」といったお話を聞いたことがある、という方もいることでしょう。
そんな自分のルーツを確かめるために必要なのが「家系図」です。実はこの家系図、あなたの知的好奇心を満たすだけものではありません。ある日突然やってくる葬式で非常に役立つものなんです。今回はその家系図を「葬式と親戚」の関係を織り交ぜて探ってみましょう。
目次
家系図を作る意味と方法
「家系図を作りたい!」と考えた動機はいろいろあるでしょう。直感的に「自分のルーツを知りたい」と思う方、「ご先祖様が日本の歴史とどう絡んでいたのかが知りたい」と思う方など、自身の知的好奇心に駆り立てられて家系図を作る方が多いものです。
そして、家系図を作る意味として何より大事なのは「子どもから孫、その先の子孫へと家族の歴史をつないでいこう」という気持ちではないでしょうか。その気持ちは将来、自分の子供や孫が引き継ぎ、未来へと運んでくれるでしょう。
また、長い人生を歩むなかで行き詰まってしまい、乗り越えられない壁が立ちはだかったときは「家系図を眺めて初心に帰る」といった使い方も考えられます。「ご先祖様が幾多もの壁を乗り越えてきたおかげで自分は今ここにいるんだ」と気分が落ち着き、ひょんなことから新たなアイデアが浮かぶかもしれません。
家系図ってどうやって作るの?
「よし、家系図を作ってみよう!」と意気込んだはいいものの、道のりは決して平坦なものではありません。家系図を作るためには自分の父母、兄弟姉妹、祖父母などの家族関係を全て調べ、市区町村が保管している戸籍簿を取り寄せる必要があります。加えて、その戸籍簿を頼りにご先祖様の情報を探っていくことは非常に骨の折れる作業です。
まず、自分の家系図を作る際に必要な戸籍簿は、親の戸籍が置かれている地域の役所から取り寄せなければいけません。自分自身の一番近いご先祖様にあたる親の戸籍簿を入手したら、それに記載されている「親が結婚する直前の戸籍」を確認します。そして、それに記載された戸籍の地域から祖父母の戸籍を取寄せ、それ以前となる1代、そしてまた1代と遡っていく、という根気のいる作業が必要となります。納得がいく家系図ができるまでに数年を要することもあるでしょう。
そうやってようやく出来上がった思い入れ深い家系図です。綺麗に清書されたものは金庫などで家の重要書類と共に保管しておくと良いでしょう。でも、せっかく作ったのですから何かの時に役に立てたいですよね。
今や家系図もデジタル化して保存しておくことができますし、気軽にディスプレイに表示して閲覧したり、好みのサイズの用紙に出力したりすることも簡単にできます。冠婚葬祭の席で、集まった親戚と一緒にタブレット端末などに表示された家系図を眺める機会があれば、きっと昔の思い出話に花が咲くことでしょう。
家系図は親戚同士のココロをつなぐ
歳を重ねていくと、親戚と会う機会が減っていってしまうのではないでしょうか。子どもの頃は同じ年頃の親戚と遊んだり、盆暮れに集まったりする機会が多くても、大人になってしまうとそれぞれが忙しくなることもあって、日常的に連絡を取り合うことも少なくなってしまいます。機会があるとすれば、家族にとって重要な冠婚葬祭などの公式行事です。
結婚式では晴れの場ですので、新郎新婦を中心に話題に花が咲きますが、お相手のご家族との交流にも気を遣います。それでも祝福ムードで楽しい時間はあっと言う間に過ぎていきます。
一方、葬式の場では法要前後の待ち時間や会食の最中など、あまりに陽気な話で盛り上がるわけにもいかず、どことなく間が持てないような微妙な時間が過ぎていきます。「自分の隣にほとんど見覚えのない遠い親戚がいて、共通の話題もなく間が持たない」という経験をお持ちの方もいることでしょう。
そこで取り出したくなる必殺アイテムの家系図!がとても良いアクセントになります。それではどのように使えば良いアクセントが生まれるのでしょうか?
家系図と葬式の相性は抜群
たとえば、葬式に関わる家系の部分だけを抜粋した家系図をコンパクトにプリントアウトして、葬式の参列者に配るというのはいかがでしょうか?自分の知らないご先祖様に出会えたことで感嘆の声を上げる親戚がいるかもしれません。
また、冠婚葬祭の場では顔を合わせるけど自分とどういう繋がりにある人なのか今ひとつかわからない親戚が、家系図を辿ればすんなりわかってスッキリ、ということもあるでしょう。家系図は遠くなってしまった親戚との距離を引き寄せ、一家の「絆」を強く感じさせてくれます。
家系図では知りえないご先祖さまの存命期エピソードで会話が盛り上がる
会話だけではどうしても見えにくい関係も、皆で家系図を眺めながら話をしていると色々なことがわかってきます。
- 「何代前のあの人はこんな人だった」
- 「あの人はこんなことで表彰されたことがある」
- 「ひいお祖父さんとひいお祖母さんのなれ初めはこんな話だった」
といったように、家系図調査では決して得られることがないようなエピソードや個々の人柄に迫った話が飛び出してくるものです。なかにはご先祖様の存命時には知り得なかった衝撃のエピソードに驚愕することがあるかもしれません。
「皆に愛される人柄だった、頑固だった、不器用だった」、このようなご先祖様を表す人柄のその先には現代を生きる「自分」という存在がいるのです。ご先祖様に対する感謝の気持ちと感慨深さが滲み出てきませんか?そんなご先祖様の人柄や心温まるエピソードを書き留めて家系図に添えておき、自分の子供に語り継ぐ、というのも楽しいですね。
さらに、家系図調査の範囲ではなかったかもしれない母系の先祖や傍系の話題にも興味深い話が出てくる可能性が高いです。そんな会話がきっかけで、日頃は疎遠になっていた親戚とまた交流が盛んになったり、ご先祖様に関する新たな資料が出てきたり、というのもワクワクさせられます。
疎遠の親戚ともしっかり繋がる「家族の強い絆」
「葬式の場に家系図が1枚あることで、ご先祖様を思う気持ちが一つになる」。それは親戚一族が大きな家族だからこそでしょう。
したがって、「ご先祖様を大切にする」という点において、葬式と家系図はとても相性がいいものだと言えます。そして、そういう気持ちは葬式のような場面でしっかりと下の世代に受け継がれていくのではないでしょうか。家系図は、大切に仕舞っておくだけではなく、ぜひこのように活用していくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?家系図は「自分のルーツを知り、それを受け止めた上で未来への糧とする」といった使い方がありますが、決してそれだけではありません。葬式などの冠婚葬祭で親戚一同が集まった際、一緒に家系図を眺めて先祖に対する思い出などを語り合うことで家族の絆や愛情、尊敬、感謝の気持ちを再認識する、といった使い方もそのひとつです。
「最近親戚同士の関係性が悪化しているから何かしらで距離を縮めたい」、「子供の頃は沢山遊んでくれた親戚のおじさんと深い話をしたい」といった方は、家系図で自分のルーツを辿ってみてはいかがでしょうか?きっと様々な思いや愛情、そして絆を感じることができますよ。