相続で活用する家系図は、しっかり調査をして作成しよう


家系図を作る動機は様々なものがありますが、自分のルーツを知るため、家族の歴史を子供や孫、その先の子供や孫に引継いでいくため、という動機で作るケースが多いと言われています。そういったことから、一度家系図を作った後は大事に家の押入れの奥の方にしまっておく、という場合が多いことでしょう。しかし、家系図には記念品・嗜好品の面とは別に、様々な活用方法があります。せっかく作った家系図ですから、役に立つ場面で積極的に活用していきたいものです。

そこで、どんな場面で家系図が役に立つのかを考えて行く第3弾は、相続のときです。これまでの法事のとき、そして結婚のときでは、あまり厳密な調査をせずに身近な家族の記憶に頼って作成した家系図でもまったく問題なかったのですが、相続の場面で活用する家系図は、しっかりとした調査に基づいて作成しておいた方が実用性をもたせることができ、後々役に立つことがあります。それがどういうことなのか、今回ご紹介しましょう。

「終活」ではぜひ家系図作りを

近頃は「終活」という言葉が定着して、注目を集める機会が多くなってきました。人生の終盤戦に向けて、自分が亡き後に子供が苦労しないように身の回りのいろいろな物やことを整理してゆき、本当に大切にしたいコアなものに絞り込んでいくことや、これまでの人生を振り返って自分の生き様をまとめていく作業が終活といわれるものです。

その定番の終活の中での新しいアプローチとして、家系図が注目されています。家系というのは、自分のルーツとなる「家」の文化、DNAに直結する大切なものです。人生を振り返りつつ、先祖とのつながりを意識する上でも、家系図作りは重要な作業といえるでしょう。また、終活は遺言を書いたり、相続対策をしたりするのが大きな目的となりますが、その一つ手前の手軽で楽しい終活として家系図を作る人が増えているのです。家系図を作ると自分のルーツに関する知的体験が得られて、先祖のゆかりの場所に旅することができたり、自分のルーツについて周りに語れたりするようになり、その方の人間力が増すといわれているからです。

相続の場面では、自分が死んだ際、遺された家族は遺産相続の作業に取りかからなければなりません。相続税の申告や遺産分割協議のために、相続すべき財産の確定と併せて、誰が相続するのかという相続人の確定を急ぐ必要があります。そこで事前に家系図を作っておくと、予め自分の相続人を把握できることになる上、遺産分割協議の最初の段階がスムーズにできるという利点があるのです。

新制度で実用的な家系図が作れる?

観賞用の家系図は遺産相続の手続において利用することはできませんが、家系図を作る際に収集した戸籍は有効期限がないため、一連の手続きでそのまま利用できる公的な証明書になります。さらに、もし親が健在だったら、自分だけではなく親が被相続人になった時にも活用できることになります。こうしたことから、家系図ができたからといってせっかく集めた戸籍などの書類は処分せず、必要なときに備えて保管しておく方がいいのです。

また本当に実用的な家系図を作りたいという場合は、「法定相続情報証明制度」の活用をお勧めします。

「法定相続情報証明制度」を活用しよう!

これは平成29年5月29日にサービスが開始された制度で「面倒な相続手続をより速く!より便利に!」という言葉の通り、相続手続が楽になる制度です。具体的には相続人が登記所(法務局)に必要な書類を提出し、登記官が内容を確認した上で法定相続人が誰であるのかを証明する制度、ということになります。

この制度のもと作ることができる「法定相続情報一覧図」は、被相続人と相続人の部分が書かれた、いわば家系図のようなもので、相続手続の際の添付書類として使える便利なものです。法務局に必要書類として、

・被相続人の戸除籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人の戸籍謄抄本
・申出人(相続人の代表となって手続きを進める者)の氏名・住所を確認することができる公式書類(運転免許証のコピー・マイナンバーカード表面のコピー・住民票の写しなど)

に加えて、自分で作成した「法定相続情報一覧図」を提出すれば、法務局の登記官がその一覧図に認証文を付して、「法定相続情報一覧図の写し(証明書)」を無料で作ってくれます。また、その法定相続情報は法務局に5年間保管されていて、追加で発行を受けたい場合は一覧図の再交付を受けることができるということも、覚えておいた方がいい情報といえます。またこの一連の手続は、弁護士や司法書士、税理士等に代行してもらうこともできます。

家系図は積極的に活用していこう


家系図には先祖・ルーツを知ることができる魅力があります。手間をかけて戸籍や古文書を収集してそれを読み解き、ご先祖様が一人ひとり目の前に現れてゆく醍醐味は何事にも代えがたい知的体験だと思います。子どもや孫がいれば引き継いでおくことで、ご先祖様を大切にする思いを共有することもできるでしょう。

一方で家系図は、とても実用性があるものだということもご理解いただけたのではないでしょうか。一枚の家系図によって、法事の場面では遠い親戚との親睦が深まったり、会食の場の会話が弾んだりします。子どもが結婚する際にはお相手の家族に向けた自己紹介のツールとして活躍してくれることでしょう。家系図を作る理由、活用方法も無限大だといえます。気軽で楽しいライトな終活、相続対策の意味も込めて家系図を作ってみてはいかがでしょうか。