今回は埼玉在住の大塚様のご自宅にお伺いしました。大塚様はお父さまが創業された会社を拡大し、現在は息子さんに事業を受け継いでもらっています。家系図を作ったことで、家の歴史を残せることの喜びとともに、12年前に亡くなったお父さまに完成した家系図を見せたかったという想いが強くなったそうです。
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歴史のある家だったという言い伝え
うちはね、もともとすごい家だったみたいなんですよね。
“すごい家”といいますと、言い伝えなどがあったんですか?
“すごい家だった”ということは親父から聞いていたんだけれど、具体的にどうだったとかわからないんですよ。お寺さんも2回ほど火事あってしまい、過去帳なども残っていないので。
お父さまのも、更に上の世代からの言い伝えがあったのでしょうか。
だと思うんですよ。うちの曾祖父は養子でこの家に来ているんですけど、名家だったこの家を潰してはいけないということで養子として迎え入れられたらしいんです。今はもう取り壊してしまいましたが、ここから少し離れたところに屋敷があって、その屋敷をむかって同じ苗字の一族が集まっていたようですね。
広い土地を所有されていたようですね。同じ苗字の方も集まっていたということは、一族として栄えていたように思えますよね。
そのあたりをしっかりと親父に聞いておけばよかったと今になって思いますよ。親父から家の話を聞かされる機会もあったんですけど、その時は、過ぎた時代のことなんて聞いてもしょうがないと思って『わかった、わかった』と言って、逃げちゃったんですよね。どうして古い土地を他の家に渡すようになったのかなど、しっかりと聞いておけば、もっとちゃんと整理できたと思いますし、うちの家系が農家だったのか、庄屋だったのか、武士だったのか、知ることが出来たのかも知れませんね。
お子さんやお孫さんに家系図はご覧いただきましたか?
今はあまり興味が無いみたいですね。だけど、私が家系図を作ったから、あとは下の世代が足していってくれればいいと思っていますよ。
作成した家系図と共に、大塚さんの知っていることを伝えていくことになりますね。
はい、次の世代には私が知っていることを伝えようと思います。
優しさが遺伝
ご先祖様は人が良くて、旅を勧められたから旅に出たらしいんだけど、その間に取られてしまった土地があるって話なんですよね。その後も渡したままにしてしまったとか。
えぇー!そんな事があるんですか?
また、私の祖父母は使わなくなっていた家屋を知り合いに貸したりしてあげてたみたいなんですけど、家賃なんか滞ったまま夜逃げされちゃったみたいなんですよね。不動産屋さんなんか通せばいいのに、個人で貸してあげていたみたいですね。
せっかくの好意が残念になってしまった話ですね。
そういったところは親父にもあったし、私にもありましたね。
損をしてしまっていらっしゃいますが、優しさが遺伝されているんですね。
うまい話に騙されるのは自業自得だけど、良かれと思ってやってることで損しちゃうなんてね…でも、困っている人を見ると『気の毒だなぁ』って思っちゃうんですよね。
大塚家の優しさはお子さんやお孫さんにも受け継がれていくんでしょうね。
そういった『行い』っていうのは、次の世代に影響したりもすると思っています。良くない行いは、次の世代になって返ってきたりするので、人に優しくしておくことは子や孫に災いが起きないようにするためです。ただ、土地なんかはちゃんとしておかないと子どもたちが大変だと思って、私の代でかなり整理したつもりですね。負の遺産はなくしておかないといけませんから(笑)。
知らなかった祖母の墓参り
一方、お母さまの家系はよくご存知なのですか?
母方はちょっと複雑で、特に母方の祖母のことや、その家系のことは家系図を作成するまで、ほとんど知らなかったんですよ。
お母さまは実の母(大塚さんの祖母)と暮らしていらっしゃらなかったんですよね。
そうですね、母は母親違いの兄弟姉妹と暮らしていました。時代も時代ですから、当時はかなり苦労したんじゃないかと思いますね。しかし、母はその家のことを悪く言うことや、自身が辛かったことなどを語る人ではありませんでした。
心のお強い方だったんですね。
今回の家系図作成で、母方の祖母のこと知ることができました。祖母の旧姓も初めて知りましたし、祖母の死亡地もとても近くだということが分かりました。今まで母方祖母のお墓参りができていなかったので、知人やお寺に聞いてみたりして、家族で母方祖母のお墓参りをしたいと考えています。
お祖母さまも、お母さまもお喜びになられると思いますよ。
そうですね、母は特に喜んでくれると思います。
貴重なお話をありがとうございました。
いえいえ、こちらこそ家系図を作ってもらってありがとうございます。上手くインタビューに答えられたかわからないけど、楽しく話すことができました。ありがとう。
インタビュー後もこちらを気遣ってくださり、お土産にご自身で収穫された次郎柿までくださいました。終始、親切にして下さった大塚様でした。