戸籍の請求ができるのは本人、配偶者、直系の関係にある人のみ

家系図を作成する上で不可欠な、戸籍の請求をすることができる人は本人とどういう関係にある人か、ご存知でしょうか。近年では個人情報保護の観点から、本人、配偶者、直系の関係にある人だけに限られています。そういったことから配偶者や直系ではない人の戸籍を請求する場合は、本来請求できることができる人からの委任状が必要となっているのです。

直系と傍系の違いをしっかりマスターしよう
さて「直系」とはどういう関係の者なのか、まずはここから話を進めてまいりましょう。簡単に言うと「親子関係で続いている間柄」ということです。男性も女性も関係ありません。何番目に生まれたかということも関係ありません。

そのため、自分を中心に見れば父母・祖父祖母・曾祖父曾祖母……となって、当然母方も同じように直系となるので、先祖に遡ればひと世代ずつ倍々で増えてゆきます。自分から見て先祖側となる直系のことを「直系尊属」といい、子孫側の直系のことは「直系卑属」といいます。

あわせてご紹介すると、直系に対して、直系ではない人のことを「傍系」といいます。身近な関係では兄弟姉妹。先祖側では伯父伯母・叔父叔母、大伯父大伯母・大叔父大叔母。さらに、従兄弟・従姉妹、甥姪も傍系となります。

また、自分と血縁関係がある直系を「直系血族」というのに対して、配偶者にとっての「直系血族」のことは「直系姻族」と呼びます。戸籍を請求する上では、直系の「血族」でなければならず、直系は直系でも「直系姻族」の戸籍は委任状なしで取得することはできないということになります。

直系でも請求できない場合がある?

ところで、直系の先祖の戸籍を請求しようと思って該当する役所に行った際に、請求を拒否されるケースがごくまれにあるので気をつけましょう。それはある事情によって、その先祖と自分の直系の関係が、戸籍上証明できないという場合なのです。

ある事情の代表的な例としてよくあげられるのは、戸籍制度の改正によって、戸籍が改製された際に、以前の除籍記載などが新戸籍に反映されていない、という事態によって起きる場合です。そうであれば通常は改製原戸籍で確認すれば問題ないはずですが、そうはいかないのがこのケースとなります。

戸籍請求できない具体的なケース
たとえば、直系先祖の夫婦がいて、妻のさらに先祖を調べましょう、ということになったとします。この夫婦が結婚したのは現代の戸籍制度の原点となる「明治5年式戸籍」の時代でした。ほどなくして戸籍制度が改正され「明治19年式戸籍」に改製され、使われなくなった「明治5年式戸籍」は明治31年に改製原戸籍となったのです。

新しくなった戸籍に、婚姻による妻の入籍はしっかり記載されていました。ところが、妻の両親の戸籍には、除籍はおろか妻の記載そのものがなくなってしまっていたのです。そこで「明治5年式戸籍」の改製原戸籍を調べようとしたところ、これは閲覧不可ということで、直系であるはずの嫁の両親との関係が戸籍上途絶えてしまった、ということになったのです。

余談になりますが、「明治5年式戸籍」は別名「壬申戸籍」とも呼ばれ、行政文書非該当扱いで、記載される人物の身分において人権侵害の問題が生じる可能性があることから閲覧不可となっているのです。

古い戸籍ほど早めに手元に

戸籍の改製によって記載がなくなるといったケースは決して昔の話だから、ということではありません。最も新しい、電算化によって改製された戸籍においても離婚等の事項が記載されなくなる場合が生じているので、必ず改製原戸籍と対比させて記載内容をしっかり確認するようにしましょう。

もし、直系の先祖との関係が戸籍上証明されなくなってしまったとしたら、調べたい先祖の情報をできるだけ多く集めて役所と交渉してみましょう。たとえば本籍地、居住地、兄弟の名前などです。ただ、柔軟な姿勢で対応してくれる役所であればいいのですが、頑に申請を拒否されることもあるかもしれません。

保存期間が過ぎた場合でも、自治体に確認してみましょう。
除籍や改製原戸籍といった閉じられた戸籍の保存期間は、現在150年となっていますが、平成22年以前は80年でした。原則として保存期間が過ぎれば廃棄されてしまうものですが、多くの自治体ではまだ保管されています。除籍や改製から150年以内であれば、過去に遡って閲覧が可能になっている場合もあります。

ただ、古い戸籍は出来るだけ早く調べて、申請できるものは手元に確保しておいた方がいいでしょう。手元に戸籍があれば、あとは自分のペースで家系図等の資料にまとめることができるようになるので、一安心ということになります。